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相続税と贈与税について

相続税

相続税とは ?

亡くなった人(被相続人)の財産は、親族または遺言で指定された人(相続人)に相続または遺贈されるのが一般的です。
その相続または遺贈された財産にかかる税金が相続税です。

相続人とは ?

配偶者、子、親、兄弟姉妹に限られますが、民法の要式や要件に従っている遺言があれば相続人以外の人にも財産を取得させることができます。
また、孫が代襲相続人となる場合もあります。

相続人の範囲と順位

配偶者(夫または妻)は、常に相続人となります。
① 子 又はその代襲相続人
② 父母 (直系尊属)
③ 兄弟姉妹 又はその代襲相続人(1親等のみ)
※① がいる場合、②と③はなれない
① がいなくて、② がいる場合、③ はなれない

法定相続分

配偶者と① … 配偶者2分の1・①全員で2分の1(複数人の場合は均分)
配偶者と② … 配偶者3分の2・②全員で3分の1(    〃     )
配偶者と③ … 配偶者4分の3・③全員で4分の1(    〃    )

相続税申告準備

< 準備する書類 >

■ 市役所
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの移動確認)
・被相続人の死亡事項記載の戸籍謄本
・被相続人の父母の戸籍謄本(相続人が兄弟姉妹の場合に必要)
・被相続人の住民票(不動産相続登記に必要)
・固定資産税評価証明書
・相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
・相続人の経歴書と家族構成など
■ 法務局
・土地、建物等の登記簿謄本
■ 市役所又は法務局
・土地、建物等の公図又は測量図
■ 取扱金融機関
・預貯金、借入金の残高証明書
■ 取扱生命保険会社等
・死亡保険金の支払調書
■ 病院
・死亡診断書の写し
■ 遺族
・被相続人の経歴書
・遺言書(公正証書遺言でなければ遅滞なく家庭裁判所にて「検認」を請求する)
・過去の相続税・贈与税申告書の(控)
・確定申告書(過去5年分)・財産、債務の明細書
・預貯金通帳・証書
・生命保険証書・損害保険証書
・被相続人の手帳、日記などのメモ
・葬式費用の明細書、領収書、諸経費控帳など

< 確認 >

■ 相続欠格・排除(相続させることができないような行為が認められる場合)の有無
■ 相続放棄の有無
■ 未成年者、後見人の有無
■ 障害者の有無

< 申告までの手続き >

■ 相続開始から3か月以内
 … 相続の放棄又は限定承認(家庭裁判所へ申述)
■ 相続開始から4か月以内
 … 所得税の準確定申告・消費税の申告・納付
■ 相続開始から10か月以内
 … 相続税の申告・納付

各人の課税価格の計算

① 本来の相続財産

■ 現金・預貯金
■ 土地 (田・畑・宅地・山林・借地権など)
■ 建物 (家屋・構築物など)
■ 有価証券 (株式・国債・社債など)
■ 事業用財産(減価償却資産・商品・製品・売掛金など)
■ 家庭用財産
■ その他 (非事業用財産・ゴルフ会員権・貸付金・書画・骨董など)

② みなし相続財産

■ 一部非課税 500万円×法定相続人の数
 ・生命保険金・死亡保険金
 ・死亡退職金

③ 生前贈与加算

亡くなった日から3年前までの間に被相続人(死亡した人)から相続人(遺族)に贈与された財産

④ 非課税財産

■ 墓地、仏壇、仏具
■ 公共事業用財産(宗教、慈善、学術等公益事業の用に供することが確実なもの)
■ 個人立幼稚園等の教育用財産(個人立の盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園を承継した場合の教育用財産)
■ 心身障害者共済制度による給付金
■ 亡くなった日から10か月以内までに国などへ寄付した財産
■ 生命保険金等のうち 500万円×相続人の数

⑤ 債務控除

■ 借入金
■ 未払いの医療費
■ 未払いの所得税、住民税、固定資産税など
■ 葬式費用(通夜費用、通夜飲食代、仮葬式費用、本葬費用、お布施など)

各人の課税価格の計算

課税遺産額の計算

課税遺産額の計算

< 基礎控除額 >

基礎控除額

課税遺産額があれば 相続税額が発生します !

相続税の総額の計算

◎課税遺産額を法定相続分であん分して税額を計算します。

< 事例 >

相続税の総額の計算

< 税率 >

税率

上記の事例の場合

税率

※平成27年1月1日以後の、相続または遺贈により取得する財産に係る相続税の税率について、一部改正があります。

税率

課税遺産額の計算

◎各人の算出相続税額=相続税の総額 ×「取得した財産の価額」/「合計取得価額」であん分

< 相続税の加算額 >

被相続人の配偶者、一親等の血族以外の相続人には相続税額の20%を加算します。

< 相続税の減算額 >

相続税の減算額
課税遺産額の計算

申告及び納付

(1) 期限内申告
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に課税価格、相続税額その他必要な事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署所長に提出しなければなりません。

(2) 納付
原則として金銭をもって一括納付することとされています。
納付金額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、5年から20年の年賦延納が認められています。
延納(割賦払い)も金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、物納を申請することができます。

その他 相続手続き

☆遺産分割協議書作成後 → 相続登記

☆預貯金・株式・自動車等の名義変更
☆公共料金・電話・クレジットカード等の名義変更
☆社会保険・労災保険・国民健康保険・公的年金の手続き


平成25年度 改正相続税

< 小規模宅地等の特例 >

◎特例適用の対象面積 …
居住用宅地
240m²までの部分について、80%の評価減
 ↓
330m²適用対象面積の拡充

(平成27年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用)

◎二世帯住宅について、住宅内部で互いに行き来ができない構造 →× 同居

できるか否かにかかわらず → ○ 同居

(平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用)

◎老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった宅地等も適用できるようになります。(以下の要件が満たされている場合に限る)
①被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
②当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

(平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用)

相続開始から申告まで、法令を守りながらたくさんの手続きが必要となります。
当事務所は、責任をもってお手伝いしますので安心してご相談下さい。

平成25年度 改正相続税

贈与税

贈与税とは ?

個人(贈与者)から金銭などの財産をもらった時に
もらった個人(受贈者)が納める税金です。

メリット・デメリット 

メリット

一人あたり、年110万円の基礎控除があるため、計画的に活用することで相続財産を減らすことができます。
配偶者控除を活用することで課税価格を減らすことができます。
法定相続人以外に財産を渡すことができ、遺産を巡る争いを未然に防止できます。

デメリット

相続税と比べて基礎控除額が小さく、税金面での負担が重い。

※ 配偶者控除 … 以下の要件を満たした場合に限り、課税価格2,000万円

 (基礎控除と合わせると2,110万円まで)控除できます。 

①婚姻期間20年以上の配偶者からの贈与。
②居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与。
③過去にこの制度の適用を受けていない(同一夫婦間で一度だけ)
④翌年3月15日までに贈与された居住用不動産を居住の用に供し、 その後も引き続き居住する見込である。
 (準備する書類)
贈与の確認書 
受贈者の戸籍謄本、戸籍の附票の写し
控除の対象となった居住用不動産に関する登記事項証明書
受贈者の住民票(戸籍の附票に記載されている住所ではない場合に必要)

贈与税の課税財産  … 相続税と同様

現金・預貯金・自社株
住宅(田・畑・宅地・山林・借地権など)
建物(家屋・構築物など)
国外にある財産など

贈与税の非課税財産

通常必要と認められる生活費・教育費など
法人からの贈与 (一時所得として所得税が課されます)
公益事業用財産
心身障害者共済制度による共済金の受給権
公職選挙のための金銭又は物品等
特別障害者扶養信託契約による信託受給権

申告・納税

 ① 申告期限

贈与を受けた年の翌年21日から315日の間に、受贈者の住所地を管轄する税務署長に提出します。

 ② 納付

原則として金銭をもって一括納付することとされています。
納付が困難とする事由がある場合においては、5年以内の延納(割賦払い)
が認められていますが、物納による納付はできません。

各人の課税価格の計算

課税方法

課税方法
 「暦年課税」 と 「相続時精算課税」 の2つがあります。
  
  一定の要件に該当する場合に選択できます


Ⅰ. 暦年課税

一人の人が1月1日から12月31日までの一年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税がかかります。


< 計算方法 >

①1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産を合計する。

②配偶者控除活用の有無

③贈与税計算
( ①一年間の贈与額合計 - ②配偶者控除- 基礎控除額 110万円 )  ×  税率  -  控除額

④贈与税の速算表

税率

< 事例 >

配偶者より2,400万円の贈与を受けた場合 (うち2,000万円は配偶者控除適用分)

 ( ①2,400万円 - ③2,000万円 - 基礎控除額110万円 ) ×  15% - 10万円  = 33万5千円

                         ↓

                   速算表の「300万円以下」より

暦年課税  …  一年間に贈与を受けた金額が110万円以下の場合は申告不要です !

相続税の総額の計算

. 相続時精算課税

将来、相続関係に入る一定の親子間の贈与に対して、2,500万円 (贈与者一人につき)の特別控除額を差し引いた残りの金額に対して贈与税がかかります。 

◎ 住宅取得資金等の贈与は、特別控除額が3,500万円 

◎ 取引相場のない株式等の贈与は、特別控除額が3,000万円

相続税の総額の計算

2,500万円を超える金額については、一律20%の税率で贈与税を払い(相続税の 前払い) 相続時には、支払った贈与税額を控除した額で相続税を納付します。 この時に、控除しきれない贈与税額ついては還付されます。 
初年度の課税価格が2,500万円未満の場合、翌年以降の贈与について適用を受ける ことができます。

< 要件 >

贈与者は65歳以上の父母
受贈者は20歳以上の子である推定相続人


< 計算方法 >

{ (贈与を受けた金額 - 特別控除額 ( 2,500万円まで ) } × 税率20%

< 事例 > 

父より5,000万円の贈与を受けた場合 ( 5,000万円 - 2,500万円 ) × 20% = 500万円

注意すべき事項

贈与税の期限内申告書と共に「相続時精算課税選択届出書」を提出する こと。 

この制度を選択した後は撤回することができません。(贈与者の死亡の 日まで適用が継続されます) 

特別控除以下の贈与でも申告が必要になります。